僕等の青色リグレット
優芽と輝くんの間に何かあると思っていたけど、その背景には風子ちゃんや晴登くんのことも複雑に絡んでいたんだね。
でもね、輝くん。
優芽も晴登くんも輝くんのことを悪く言ったことは1度もなかったよ。
みんながみんなお互いを想い合っているんだよ。
「逃げちゃだめだよ、輝くん」
「……」
「合わす顔が無いとかいって、ただ逃げてるだけじゃん。風子ちゃんや晴登くんに悪いと思うならちゃんと向き合わないと」
「けど、俺なんかに」
「そんな輝くんでも! 2人にとっては大事な幼馴染なんじゃないの? 2人だけじゃなくて優芽も、島のみんなも! 待ってるはずだよ、輝くんが以前の輝くんに戻ってくれることを」
輝くんに向ける優芽の表情は、いつも悲しそうだった。
あれはきっと輝くんを心配している顔だよ、親友の私が言ってるんだもん間違いない。
「俺は……俺は……」
嗚咽を漏らし始めた輝くんの背中を摩りながら、「大丈夫だよ」と何度も念じる。
2年前の出来事はとても不幸で風子ちゃんのことを思うと憤りを感じるけど、だからといって晴登くんや輝くんが責任を背負い込む必要はない。
輝くんがこうやって気持ちを吐き出せたのは、闇を抜ける第一歩になると思う。
晴登くんも同じように抜け出せたらいいな、背負っているものを下ろせたらいいな。
いつか心の底から笑い合える日が来たらいいな。
そのためには、私にできることって何だろう? 何かあるはずだよ。
彼がそうしてくれたように。
例え嫌われたとしても、できることをしてあげたい。