僕等の青色リグレット


伝説を起こすためのアイテムは、7個のうち6個は見つかっているけど、あと1つ、星だけがまだ見つけられていない。そもそも星が何かも分かっていない。

だけど、晴登くんには明日の本番に備えて練習をしてほしいから、私は嘘を吐いた。

”誠実でありなさい”

おばぁちゃんの教えにそうあったけど、誰かのことを思う嘘なら良いよね。

それに私は今まで、晴登くんに頼り過ぎた。

だから、最後の1つは自分の力で見つけたいんだ。


「今まで付き合ってくれてありがとう。これから先は大丈夫だから、晴登くんは自分のことに集中して」

「芙海……」

「祭り、楽しみにしてるね」

「うん」


晴登くんならきっと、鳳を立派に舞ってみせるだろう。

それから、神起祭の夜で1番の力を与えられ、風子ちゃんを救うだろう。

「任しとけ」って頼もしく頷いた晴登くんは、今まで見た中で1番カッコ良くて、私が知っているどの男の子よりも輝いて見えた。

「(好きだなぁ……)」

唐突なく、思う。

この島に来た頃の私は後悔ばかりだったけど、晴登くんに出会って色んな経験をするうちに、過去の自分を悔いることに意味がないことを学んだ。

自分の弱さと向き合い、対話することを学んだ。

振り返らず前を向く強さを学んだ。

だから、恩返し。

私は晴登くんの悩みの種を減らしてあげるため、お節介だと分かっていても出来ることをするの。

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