僕等の青色リグレット





「話って、なんかね」


晴登くんのために何かしてあげたい。

そう意気込んだ私だけど、じゃぁ何をどうするかという点では、まだまだ考えが浅くて。猪突猛進と言われた性格を発揮すべく、晴登くんのお父さん、宮司さんのところに直撃した。

もちろん、どう話すかはノープランだ。


「あの……」

「まぁ、中に入りなさい」

「失礼します」


台所がある裏口から中に入り、奥の部屋へと通される。そこは前に宮司さんの具合が悪くなった時に入らせて貰ったところで、あの時は気が付かなかった畳の良い匂いがした。


「お茶を淹れようかね」

「あ! お構いなく。すぐ帰りますので」

「そんなこと言わずに、付き合ってくれないかい? 3時のおやつの時間だ」


毎日の楽しみなんだとお茶目に笑う宮司さんは、台所へと行ってしまった。

お言葉に甘えることにして待っている間、私は何気なしに部屋の中を見回した。

男の2人暮らしというだけあって少し散らかってはいるが、落ち着いた雰囲気がある。木の温かさ、襖の匂い。

おばぁちゃんの家もそうだけど、やっぱり日本家屋はいいなぁ。

そんなことを考えながら開けっ放しにしてある隣の部屋を覗くと、見慣れないものを見つけた。


「あれは」

「祖霊舎やよ」




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