僕等の青色リグレット
冴子さんが亡くなり、男手ひとつで息子を育ててきた宮司さん。
たった1人の肉親を大切に思い、傍で支えたいと願う晴登くん。
そんな2人を残し、この世を去らなければいけなかった冴子さん。
それぞれの気持ちを考えると切なくも胸が熱くていっぱいになる。誰か1人が正しいわけではなく、間違ってもいない。
なのに、ぶつかり合うこともできなくなってしまった家族。
どうしたらいいのかな?
また、考える。
突然の訪問と不躾な質問をしてしまったことを宮司さんに詫びてから、神社を後にした私は竹林の中をゆっくり歩いていた。
伝説を起こすための条件は、まだ1つ見つかっていない。
それをどうにか今日中に探すつもりでいるけど、晴登くんのことで頭がいっぱいになっており半ば諦めモードになっていた。
『せっかくここまで来たのに、また諦めるの?』
頭の中で、もう1人の私が問い掛けてくる。
『でも、今はもっと大事なことがあって』
『それと、途中で投げ出すことと関係あるの?』
『それは……』
『結局、また辞めてしまうんだ』
違うよ、そうじゃない。
私だってここまで来たのに、辞めたくないよ? でも実質、無理じゃん。星なんてどう逆立ちしても掴めないものを手に入れれるわけないじゃん。
じゃぁ、どうするの? 開き直るの?
「あぁ、もうごちゃごちゃうるさーい」
ぶんぶん頭を振って、もう1人の自分を追い出そうとしたその時。
前方から走ってくる人物が視界に入った。