僕等の青色リグレット


輝くんの説明によると、総合病院の精神病棟に入院している風子ちゃんは、お昼までちゃんと自分の病室にいたらしい。

だけど、午後の診察の時間になり先生が回診に来た時には居なくなっていて、病院内をくまなく探したけど、まだ見つかってないとか。


「病院の外に出て行っちゃったってこと?」

「その可能性が高いんやと」

「優芽たちは?」

「病院の周辺を探してる」

「じゃぁ、私たちも行こう」


私が今いる竹林から、総合病院までは徒歩で20分ほど掛る。走って行ったとしても15分。おばぁちゃんの家まで自転車を取りに帰るか、このまま走るか。

どっちが早いだろうか、考えているところで目の前をサッと横切る影が見えた。

自転車に跨る晴登くんだ。


「晴登くん、風子ちゃんのこと聞いた?」

「おぅ、さっき優芽からメール貰った。病院の周りにもおらんらしい」

「どこ行っちゃったんだろう」

「大丈夫や、この島のどこかにはおるわ。病院よりもうちょっと範囲を広げで探す」

「分かった、私と輝くんも後から……」


そこで初めて、輝くんが固い表情のまま固まっていることに気が付いた。

どうしたの? って腕を揺すってもピクリとも動かない。





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