僕等の青色リグレット


その後、風子ちゃんは優芽と迎えに来た車で、病院へと戻って行った。

私も同乗するように言われたけど、方向が全然違うことを理由に断り、晴登くん輝くんと一緒に自転車で帰ることにした。輝くんは徒歩だけども。

時刻はもう夜の10時近くになっていて、お母さんにメールで連絡しているものの、帰ったら説教させるだろうなぁと憂鬱になっていると、


「ちょっと待ってて」


ふと、呟いた晴登くんが海岸の方へ走って行ってしまった。

忘れ物? じゃないよね、どうしたんだろう? 輝くんと目を合わせて首を傾げる。

程なくして戻ってきた晴登くんは、両手いっぱいに砂を持っていてそれを私に差し出した。


「芙海、これ」

「これって……砂?」

「そう、星の砂」

「すなの、ほし? え、星!?」


もしかして、それって!


「芙海、本当は全部揃ってなかったやろ? これでどうやろ」

「多分、いいと思う。え、どうして分かったの?」

「ここだけの話、俺、超能力があるんだ」


内緒ごとを言う様に小声でそう言って、笑う。

「嘘!」

「うん、嘘」

「うぅー、また騙された」


手の中には、白くて小さな小さな星の砂。

うん、間違いない、これだ!

ありがとうってお礼を言って、良かったねって笑い合う。

そんな私たちを輝くんが不思議そうに見ていた。




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