僕等の青色リグレット
その瞬間、涙がぽろりと落ちた。
1粒、2粒、零れだしたらもう止まらないぞとばかりに溢れ出て、喉の奥が熱くなる。鼻の奥もツンとする。
そんな私にハンカチを差し出しながら笑うお母さんもやっぱり泣いていて、幼い子供のように声をあげて泣いた。泣いた。泣いた。
おばぁちゃんが亡くなって以来、初めての涙だった。
「お母さん、私、もう1度バレエをやろう思う。ブランクあるし、プリマになれる才能はないと思うけど、それでも好きなことから逃げるのやめる」
「そう、おばぁちゃんも喜ぶわ」
「あのね、夢には終わりがないんだって、教えてくれた人がいるの」
「晴登くんね」
「知ってたの?」
「知ってるわよ、言っとくけど芙海の理解者はおばぁちゃんだけじゃないからね、私だって応援隊員なんだからいつでも芙海の心の中にいるの。まぁ、まだ死んでないけど」
「ふふっ、お母さん……ありがとう。それでね、晴登くんにも夢があるの」
「そう」
「今から叶えに行ってくるね!」
「え? 今から……、あ、ちょっと芙海!?」
晴登くんの夢は、一人前になった姿をある人に見てほしいというもの。
”一人前”という言葉だけに絞ると、まだ早いのかもしれないけど、多くの悩みを抱えている彼の心を溶かすのは、そのある人しかいないと思う。
だから、私は――――。