僕等の青色リグレット


優しい話し声だった。

細めらた瞳の奥に強さと輝きを見つける。それはほんの一瞬だったけど、意思を持って話してくれた言葉に胸が熱くなった。


「お母さん……」


さっきまで笑っていた絢子さんが涙ぐんでいる。私も泣きそう。

一生懸命願えば、叶う。

そうだよね、やる前から疑って掛かるのはダメだよね。信じて真っすぐ祈るしかないよね。麻子さんの手を両手で握り、「ありがとうございます」とお礼を言う。

その隣で、「私も一生懸命お母さんのお世話をすれば、また声を聴けるかしら」と絢子さんが呟いた。


「また、聴けるはずです」

「そうよねぇ、ありがとう。私ね、最近、母の世話をするのが楽しいの。晴登くんっていったかしら、宮司さんところの。あの子のお陰だわぁ。介護って辛い時もあるけど、こうして母と過ごし時間がかけがえのないものだって気付けたわ」

「絢子さん」


晴登くんって、すごいなぁ。

彼の心の優しさが、こうして人を救い前を向かせている。

宮司さんは晴登くんの優し過ぎるといい、神職の世界で押し潰されると言ってけど、実際その人柄や器量の深さで救った人がたくさんいるんだよ。

私もその1人。

関わった人、みんなを幸せにできる力を持っていると思う。

その姿、お母さんに見て貰おうね。
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