僕等の青色リグレット





「芙海、こっちこっち! 遅かったな」


神社に着くと、先に着ていた優芽がこちらに手を振った。

神起祭の儀式に使われる井桁を囲むようにして敷かれたブルーシートの上に座っていた彼女は、私の分の場所も空けておいてくれたようだ。


「ごめん、色々あって」

「もうすぐ始まるで、早ぉ、座り」

「うん」


優芽とは今朝、風子ちゃんのことで話をした。

2年前のこと、大好きなお姉ちゃんが壊れてしまったことに対するショックや不安、島中の大人たちが優芽たち家族を腫れ物に触るように接する中で、何度も傷ついたこと。事件のことを知らない私には言いたくなかったこと。

それらを含め、風子ちゃんは遠くにいると嘘を吐いたことを謝ってくれた。

もちろん、私はそんなの全然気にしてないし言いたくなかった優芽の気持ちは十分理解できるから「いいよ」と言ったけど、優芽は心苦しく思っていたらしく何度も私に頭を下げた。

私の方こそ、優芽が辛かったとき何もしてあげられなくて心苦しい。

そう伝えると、彼女はニカッと笑い「一緒やな」と言った。


「ねぇ、儀式ってどんなの?」

「宮司さんが出てきて、そこの井桁に火を付けるんや。それから、神様を呼び怒る祝詞を唱える」

「私たちはその間、何をすればいいの?」

「何もせんでいいよ。ただ神様が無事に現れてくれることを祈るだけや」
















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