僕等の青色リグレット
祈るだけと言われても、何だか緊張する。
それは私だけじゃなくて、優芽や神楽を舞う他の面々たちもどことなく硬い表情をしているように見える。いよいよ、始まる。まさにそんな顔だ。
やがて、衣冠姿の宮司さんが厳かに現れた。いつもは穏やかな表情をしている宮司さんもキリリとした威厳のある風情で、その後ろに付いて歩く晴登くんも凛々しい表情をしている。
誰かが「よぉー」と声を掛けた。
びっくりして周りを見るが、それはこの儀式では普通のことらしく、続いて声が聞こえる。井桁を囲む人たちの人数はピークを越えいる。
多くの祈りが捧げられる中、神起こしの儀式が始まった。
はるか昔、大神様がこの島の奥底で眠っていました。
いつ頃から眠っているのかは、誰も知りません。けれど、たいそう眠るのが好きな神様だと言い伝えられていました。
ある時、西から大蛇が嵐を引き連れ現れて、島に甚大な被害を与えます。
人間の力ではどうにもならない。
そう判断した人々は大神様を起こすことを決めます。
火を焚き、水を集め、花を添え、光を寄せ、恵みの果物を捧げ、大神様が喜びそうなものを用意して祈り続けた77日後。
目覚めた大神様の力で、大蛇と嵐は去っていきました。
人々は神に感謝し、平和が戻った8月25日に神を起こし喜ばせる儀式を毎年行うことをしました。
それが、神起祭――。
「すごい、炎が……」
「神様が起きた合図やよ」
「無事に来てくれたってこと?」
「そうや」