僕等の青色リグレット
というか、幽霊が出そう……。
暗いところやオカルトが苦手な私には怖すぎるその登山道で「やっぱり、引き返そうか」と、浮かび上がる弱気な気持ちをどうにか沈め、「大丈夫、諦めるな」と自分で自分を励ます。
木々の隙間からほんのり差し込む月明かりとスマホのライトを頼りに歩き続け、そろそろ山の中腹だという看板のところで人影が見えた。
でた、幽霊だ。
身構える私の元に、その人影がどんどん近づいてくる。
幽霊って塩を投げればいいんだっけ? でも塩なんて今持ってないや。どうしよう、どうすれば――――と、
「ふーみー」
「ぎゃぁああああああ」
「俺だよ、俺」
「いやぁああああああ」
「おい、落ち着けって!」
「無理無理無理むり……って、あれ、ひか、るくん?」
ライトを当ててよくよく見ると、呆れた顔の輝くんがそこにいた。
「なぁんだ、驚かせないでよ、こんなところに1人で佇んでいたら幽霊と間違われても仕方ないよ」と、バクバクする心臓を押さえて、一気にまくし立てる。
そんな私に輝くんは小さく笑った。
「怖がり過ぎやろ、そんなんでよくここまで登って来たなぁ」
「いやもう10年分くらいの勇気を使ってるよ」
「それにその恰好って、お前足痛くねぇーのか」
「痛さを通り越えてもう分かんない」