僕等の青色リグレット
輝くん……?
真剣な瞳がこちらを向いている。それは暗がりでも分かるほど強く、真っ直ぐ私を射抜いていた。
「晴登に自分の気持ち、言わんでいいんか?」
「えっ」
「好きなんやろ」
何を言って――。
笑って誤魔化そうとしたけど、無理だった。顔がとてつもなく熱く、心臓の音がバクバク言っている。
「好き、だと思う」
「じゃぁ、その気持ちを晴登に、」
「言わないよ、今はまだ言わない」
晴登くんが好きなのは、風子ちゃん。
港町で風子ちゃんの見つけ、駆け寄り、彼女を抱きしめていた晴登くんの姿が頭の中に浮かぶ。彼の気持ちが他にあることを知っていて、自分の気持ちをぶつけることに何の意味があるのだろう? 困らせるだけじゃないか。
「俺も昔はそうやった」
「輝くん、も?」
「風子の好きなやつが晴登やと知って身を引こうと考えたんや。告ったところで風子を悩ませるだけや、今の良い関係を壊したくないとか言いながら、本当は怖かっただけや」
「……」
「でも、今は違う。風子が晴登のことを思ってようが自分の想いをぶつける。そんな気持ちにさせてくれたのは、芙海なんやで」
「わ、私?」
人差し指で自分を指して聞き返すと、輝くんは大きく頷く。
彼の心境の変化は素敵だし男らしい決意表明だと思うけど、私がそんな気持ちにさせたとは? そんなそんな。 首を傾げていると、わざとらしいため息が聞こえた。
「逃げるなって言ったやろ」
「それは、言ったけど」