僕等の青色リグレット


何だか輝くんがいつもより大きく見える。

より逞しいというか、より男らしいというか、これ、本当に輝くんだよね? って確認したくなるくらい顔つきが変わっている。

彼は、一歩前に踏み出せたんだね。


「俺、子供の頃からずっと風子が好きやったんや。その気持ちだけは誰にも負けん。だから、告白するって決めた」

「うん、そっか頑張って」

「芙海も自分の気持ちに自信を持てるようになったらいいな」


自分の気持ちに自信を……。

輝くんの言葉は私の心のド真ん中にズドンと響いた。

この島に来て随分と意識が変わったように思えるけど、本質的なものはまだ変われていないような気がする。

臆病で怖がり、引っ込み思案で諦めるのが早い。気持ちが揺れるのも早い。

でも、もっと強く思えるようなものに出会えたなら、これだという何かがあれば、輝くんのいうように自信を持てるようになるのかもしれない。

いや、きっとそうだ。


「そうなれるように、頑張る」


大きく頷いて答えると、輝くんは太陽のような笑顔をくれた。



「じゃぁ、行ってくるね」

「おう、気を付けてな」


輝くんと別れた私は、再び真っ暗な山道を登り始めた。

下駄と草履を変えて貰ったお陰で随分歩きやすく、さっきよりも早いペースで進んでいける。



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