僕等の青色リグレット
「何しよんのー!」
「うぅ……手がベタベタになった」
「さっさと食べんからそうなるんやわぁ、」
お母さんみたいな口調の優芽は呆れ顔を作りながらも、何人かに声を掛けてウエットティッシュを持ってないか聞いてくれる。
あっけらかんとした嫌味のない性格の彼女らしく、「鈍くさい都会の子」と紹介してくれたお陰で、都会ではアイスキャンディーなんか普段食べないんだと、あらぬ誤解を受けた。
「輝(ひかる)はティシュ持ってねぇーか」
別の子が、聞いてくれた。
声を掛けられたのは、私たちから少し離れたところに座っていた男の子で、面倒くさそうに「持ってねぇ」と答えると、クスノキの方に行ってしまう。
「なんよ、相変わらず愛想のねぇー奴やなぁ」
「思春期ってやつやろぉ、うちのお母さんがそう言ってた」
「それな、うちのお母さんもよく言うで。大人はすぐその言葉で片付けようとするけぇ、むかつく」
「分かる分かる」
そんな話で優芽たち盛り上がっているうちに、輝くんが戻って来てポイっとこちらにウエットティッシュを投げてくれた。
どうやら宮司さんのところに行って貰ってきてくれたらしい。
「ありがとう」
「別に、あいつらがうるせぇから持ってきただけだ」