僕等の青色リグレット
『ハナカラ、アズカリモノだ』
「ノートですか」
『ニッキダ、65ネンマエノハナカラ、フミへ。スベテココ二カイテアル』
神様はそれだけ言うと、眩しいくらい美しさで優しく微笑み、やがて姿を消した。
暗闇には残像のように金色の輪っかが残って見える。
そして、私の手元には日記がある。
神様によると、これはハナおばぁちゃんの日記でおそらく私が持っているものの続きだろう。65年前のおばぁちゃんから私に、というのは?
中身がどうしても気になった私は、腰を掛けれそうな場所を見つけて座り、日記を開いた。文字は当然のことながら暗闇で見えないので、スマホのライトを当てる。
そこに書かれていたのは――。
「今はまだ見ぬ、君へ」という書き出しの文章だった。
不思議な夢を見た。
私はどこか遠くの世界から、この世を俯瞰している。そんな夢だ。
見下ろす世界には、私とよく似た女の子がいた。
心に大きな傷と後悔を追っている、そんな子だ。
その子は亡くなったお祖母ちゃんのことを想い、いつも心の中で泣いている。何をそんなに苦しんでいるのか、何をそんなに思いつめているのか。
今の私には分からない。
だが、ひとつ言えることがある。
例えどんなに酷いことをしたとしても、悔いるということは自分の行いを省みているということ。そんな子孫を責めるものはいない。
むしろ、その苦しんいる姿を見て悲しく思っているだろうということだ。