僕等の青色リグレット
そして、日記の最後にはこう締めくくってあった。
どんなことがあっても、どんな道を選ぼうとも、自分で歩んだ日々を決して無駄だと思うな。自信を持て。後ろめたく思う時も胸を張れ。
私はいつも孫娘を見ている。見守っている。
どうしようもなく困った時があったら必ず助けてやるから、精一杯生きろ――と。
この日記を書いた時のおばぁちゃんは、私と同じ17歳。
なのに、こんなにも力強く愛に溢れた文章を書いていたのかと思うと、負けていられないという気持ちが沸き上がってくる。
悩んだり、迷ったり、時に上手くいかなくて苦しかったり、歩くのが嫌になったり。生きていたらそんな時もあるけれど、腐らず思い詰めずに前に進もう。
「おばぁちゃん、私、前を向いて生きていくね」
この先、どんなに辛いことがあっても、後悔するようなことがあったとしても、強く生きるね。だから傍で見ててね。
おばぁちゃんのこと、ずっとずっと忘れないからね。
家に帰ると夜の12時を過ぎていて、鬼の顔をして待っていたお母さんに説教をくらっうはめになった。あんなに綺麗に着せてもらった浴衣もよれてぐしゃぐしゃだ。
「まだ話は終わってない」と息巻くお母さんを上手く宥め、2階の部屋で浴衣を脱いで衣文掛けに吊るした。
それから、おばぁちゃんの日記を手に取り布団に入る。
ここに書かれてある通りに日常が進むなんておかしいなと思っていたけど、まさか過去のおばぁちゃんからのメッセージだったとは……。
そのからくりが分かり、1ページ目から読み返してみると、所々、変な箇所も見つかりおばぁちゃんらしいなと笑った。
この日記は、私とおばぁちゃんが奮闘したひと夏の思い出が詰まっている。そう思うと、1ページ1ページが愛しい。
宝物のような日記を胸に抱きしめ、私はいつの間にか眠っていた。