僕等の青色リグレット





翌朝、すっきりとした目覚めで起きた私はおばぁちゃんの仏壇の前に座りお線香を焚いた。りんを鳴らして手を合わせる。

今まで悲しそうな顔に見えていた遺影は、不思議と笑っているように見え、何事も自分の心、気持ち次第なんだなと思った。


「芙海、何してるの? 夕方までには荷物をまとめてね」

「分かってるって」


あらかた片付いている家の中で、まとめるものなんて知れている。ここに来た時に持ってきた鞄に私物を詰めて、あとは宅配便で送って貰おうか。

そんな話をしている時、ふと。拭き掃除をしていたお母さんが手を止めた。


「いよいよ、今日ね。優芽ちゃんたちの神楽」

「うん」

「楽しみね」



そう、今日は神起祭二日目。

いよいよ今日は晴登くんや優芽、輝くんたちが演じる神楽の本番だ。

荷造りが終わった私は夕方の5時過ぎに家を出て神社に向かった。

そこで昨日と同じようにビニールシートの席を陣取り、早くも緊張に襲われる。そわそわして落ち着かない。

すると、袴姿のカケルくんが現れて私の膝の上に飛び乗った。


「ふみねぇちゃん、見て赤ちゃん」

「わっ、可愛いねぇ~!」



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