僕等の青色リグレット
輝くんはそれだけ言うと、またまた離れて行った。
背はそれほど高くないけれどガッシリとした体格の、いかにもスポーツ少年といった短めの髪の毛で意思の強そうな顔だちをしている。
そんな輝くんのことを、気のせいかな?
優芽が悲しそうな目で見ているように感じた。
「へぇ、晴登が芙美を助けてくれたんか」
「うん」
神楽の練習からの帰り。
3日前のことを話すと優芽は元々細い目をさらに糸状にさせて「それでさっき驚いた顔をしていたのか」と笑う。
そんな彼女は袴の裾を持ってパタパタ仰いでおり、お世辞にも女の子らしいと言えないが、この真夏の暑さでは無理もないだろう。
素足を出していても、肌に汗がじっとりと滲む。
「晴登は優しいからな、それにイケメンだしねぇ。ライバルが多いぞ」
「そんなんじゃないってば」
「でも、明日会いに行くんだろ?」
「パーカー返しに行くだけだし。あの神社に住んでるんだよね? 私あそこに同年代の子がいるなんて知らなかった」
島の子たちはみんな仲が良い。
私も島に帰省した時には優芽にくっ付いて遊びに行っていたから、顔だけは何となく知っている子もたくさんいる。だけど、その中に晴登くんはいなかったような……?