僕等の青色リグレット





「芙海、本当に帰っちゃうのか?」

「帰るよ、だって学校あるもん」

「こっちに転校したらいいのに、住む家がないならうちに来ればいいんやし」

「ありがとう、優芽」


神起祭、翌日。

私はお母さんと一緒に東京へ戻ることになった。

ここに来た当初は夏休みいっぱいという予定だったが、思っていたより片付けが早く済んだのと、独り東京に残してきた父が寂しがっているからだ。

それに、9月から始まる2学期に備え、少しでも早く実家に戻りゆっくりしたいという思いもあった。


「連絡くれよな」

「うん、優芽もメールしてね」

「晴登に挨拶していかなくていいのか」

「……また来年も来るんだし、いいよ」


これからは、もっとマメに帰って来ようと思う。

その時は優芽の家に泊めてね、って言うと、顔をくしゃくしゃにさせた彼女が何度も頷く。涙を堪えているのかな……と、思えば。

「へーくしゃん!」と大きなくしゃみ。

昨日の神楽で全身全霊を使い果たした優芽は昨夜のうちに熱を出し、どうやら風邪を引いてしまったようだった。

お大事にしてよね。



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