僕等の青色リグレット
イチジクは持ちやすいように袋に入れてもらい、ペットボトルのお茶と帽子で暑さ対策も完璧にした私は、洗濯しておいたパーカーを持って神社に向かった。
道は昨日も歩いたばかりだから覚えている。
だけど、本当なら優芽に付いて来てほしかったなぁーと思いながら(誘ったけど、断られた)、麓から山道に入り竹林の中を進む。
そこまで来ると頭上が木で覆われているため、少し涼しく感じる。辺りも薄っすら暗い。
実はこういったところが少し苦手な私は、やっぱり無理やりにでも優芽を引っ張って来れば良かったと心細く思いながら、足を速めた。
と、その時、反対方向から人影が見えた。
怖い人じゃないといいけど……、そう身構えつつ、顔を認識できるほど近づいた瞬間、その人と同時に声が出た。
「あれ」
「あっ」
輝くんだった。
昨日の白い袴姿とは違い、Tシャツとデニムパンツといったラフな恰好の彼は、不思議そうな顔をして首を傾げた。
「今日は神楽の練習ないで」
「あ、うん、見学じゃなくて、ちょっと用事で」
「あんた、優芽の友達? 島の子やないよな」
「私は優芽の隣の家の、えっと」
「あぁ、ハナばあちゃん家の子か。この前、一周忌やったんよな」
「うん」
「用事ってのは、神社に?」
「いや、」
「それとも晴登?」
「あの」