僕等の青色リグレット
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スッと姿勢を伸ばして深呼吸。
首と背中は一直線になるような感じであごを突き出さない。お腹やお尻も出さずに肩は自然に、左右のかかとをつけて180度足を開く。少し離す、平行に交差させる。
プリエ、タンデュ、アラベスク、試しに軽くジャンプをしてみると、ドスンと大きな音と共にかかとから落ちた。膝に僅かな痛みが走る。
もう”あれから”どれくらい経っただろう。
いつになれば、この痛みを忘れられるようになるだろう。
優雅さには程遠い動きにげんなりしていると、階下からお母さんに呼ばれた。
「芙海ー? さっきから何を暴れているの? 家が壊れちゃうじゃない」
「まさか、これくらいで」
「あんたが思っている以上に古いのよ、この家。私のおじいちゃん、芙海からみて曾おじいちゃんの代からある家なんだからね」
お母さんは指を折りながら、築80年は越えているんじゃないかしらと呟く。
確かに古い家ではあるけれど、昔作りの柱がしっかりとした家でおばぁちゃんが元気な時は手入れもこまめにされていた。
この家で育ったお母さんは古臭くてあまり好きではないと言っているけど、私は趣があって素敵だと思う。
階段を下りて居間にまで行くと、テーブルの上に置かれた白くて厚みのある紙のようなものが目に付いた。
「お母さん、これなに?」
「そうそう、ちょっとお使いを頼まれて欲しいの」
「お使い?」
「これを三笠のおばさんのところに届けてちょうだい」
「三笠のおばさんって、公民館の近くの?」
「そうよ」