僕等の青色リグレット
そんなわけで子猫を貰いに行くことにした私たちは、日が暮れる前に戻ってくることを目標に早歩きで晴登くんの知り合いのところへ向かった。
その道中、晴登くんの家にいる猫の話しを聞きながら歩く。今現在7匹いるという猫はどれも捨て猫で、彼が拾ってきたらしい。1番のボスが三毛のロベルト、2番手は茶虎のネイマール、3番手は真っ白でメッシ。
どこかで聞いたことがある名前だと思ったら、全部海外の有名サッカー選手から付けたと聞いて、思わず笑ってしまった。
神楽を舞っている時は凄まじいオーラを放つ神秘的な男の子だけど、こうやって話すと普通の子と変わらない。
「芙海の家は? 何か動物飼ってる?」
「うちは犬、ヨークシャテリア」
「毛の長いやつ?」
「そうそう、甘やかして育てたせいかわがまま放題で――、」
そこまで話してふと、あることを思い出した。
それはまだ私が小学生だった頃のこと、島に帰省した際にうちのお母さんが、さっき私が言ったのと似たような愚痴を吐いたことがある。
ただ今と違うのは、”わがまま”というが犬のことではなく、娘の私であり、それを聞いたおばあちゃんがえらく怒ったのだ。
『芙海のどこがわがままだと言うんだ、お前の目は節穴か!』
この時、私は学校のことやバレエのことですごく悩んでいて、そのせいもあってお母さんと衝突することが多くよく叱られていた。そんな中で、おばぁちゃんが味方になってくれて嬉しかったんだ。
そう、おばぁちゃんはいつも私の味方だった。
「芙海? ついたで」
「え?」