僕等の青色リグレット
晴登くんに声を掛けられて顔をあげると、とある一軒家の前に着いていた。
そこは灰色の壁に囲まれた何とも寂し気なお家で、門のところから伸びたツタの葉が不気味な雰囲気を醸しだしている。
こんなところに人なんて住んでいるのだろうか。呼び鈴を鳴らし待っていると、30代半ばくらいの男の人がドアの隙間から顔を覗かせた。
「一善さん」
「あぁ、晴登か。ちょっと待ってろよ」
どうやら晴登くんが事前に連絡を入れておいてくれたらしく、一善さんと呼ばれたその人は段ボール箱を持って戻ってきた。
中を覗くと敷き詰めたタオルの上に、青い瞳をした子猫がちょこんと座っている。
「わ、小さい」
「生後2か月くらいだ」
「触ってもいいですか?」
「ああ、優しくだぞ」
恐る恐る手を伸ばし触ってみる。柔らかくて温かい。
ふわふわのコットンみたいな毛並みをした子猫は、はじめましての私が触っても嫌がる様子を見せず、それどころかゴロゴロと喉を鳴らしており人懐っこいようだ。
この子ならきっと三笠のおじさんもおばさんも気に入ってくれるはず。
「良かったなぁ、チビ。可愛がってもらえよ」