僕等の青色リグレット


快く子猫を譲ってくれた一善さんにお礼を言ってから引き返した私たちは、その足で三笠夫婦の家に向かうことにした。

道すがら、夫婦にどんな風に言うかを話し合う。

私は正直に気持ちを伝えて2人の会話を増やすためにも猫を飼ってはどうか、と提案した方が良いと思う。けれど、晴登くんは首を左右に振った。


「おばさんはともかく、それじゃおじさんの方は変に意固地になってしまうと思うで、情に訴えた方がいいわ」

「情って?」

「子猫を拾ったけど飼ってくれる人がいなくて困ってる、とか」

「嘘をつくの?」


晴登くんの言い分は確かに一理あるけど、譲り受けたこの子を捨て猫扱いにしてしまうのは、どうも悪い気がする。

君だってそんなの嫌だよね? 

段ボールの中にそう語り掛けると、子猫は「ニャー」と鳴いた。

と、その時。



「あれ?」

「んっ……?」


ポツ、ポツ、と初めは頬に、次に腕に。雨が降り出したんだと気づいた頃には辺りが暗くなっていた。空を見上げるとまるで早送りしているように急スピードで雲が流れ太陽をすっぽり隠している。

嫌な予感がする。

そんな時の予感は大抵外れることがなく、雨脚が一気に強まった。スコールだ。



「ど、どどどどどうしよう」

「子猫を濡らさんように、走るで!」

「うんっ!」



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