僕等の青色リグレット
「しばらく止みそうにねぇなぁ」
そんな悪戯好きの晴登くんは、空を見上げながら呟いた。
「そういや、あの海の落ちたあと、大丈夫だったか?」
「ううん、3日ほど熱だした」
「まじ? あぁ悪い、今日は貸してやれるような服持ってねぇわ」
「あ、それは大丈夫! 海に落ちた時とは違うから」
それに今日は、透ける素材の服じゃないし。
ただ異様に寒い。私たちが雨宿りしている場所は山沿いにあるバス停で小さなベンチと屋根があるだけの簡易な作りで、横殴りの雨が時々足元まで迫ってくる。
また、辺りには鬱蒼とした木がたくさん茂っているため他よりも気温が1,2度低く感じるのだろう。
子猫が風邪をひかなきゃいいけど。
幸い、子猫はハンカチと体でガードしたおかげで濡れることがなく、タオルに包まれスヤスヤ眠っている。
そんな子猫を指で撫でていると、不意に身体の右側が温かくなった。
晴登くんが傍に来て身体を私にくっ付けている。
「また熱出したら大変だけぇ」
「……うん」
雨の音がもしなかったら、心臓の音が聞こえちゃっていたかもしれない。
それまで寒さでブルブル震えていたはずの体が、今度は何とも理解しがたい変なリズムを刻み始めている。右側が温かい。いや、熱い。
すぐ傍にいる晴登くんの顔を見るのが照れくさくて、私は地面に視線を落とした。