僕等の青色リグレット
さよならも、ありがとうも言えないまま死んでしまったおばぁちゃん。
私は未だその死を受け入れられず、泣くことさえできていない。
「会いたいよ、どんなに大変な条件でもクリアして、おばぁちゃんに会いたい」
「分かった」
頷いた晴登くんは目を細めクシャリと笑った。
その表情はあまりに美しくて、もしかしたら彼は神様の使いなのではないかと思ってしまうほど。目に掛る長い前髪がふわりと風に揺れる。
そういや、優芽が晴登くんのことを「神童」と呼んでいた。それはこの特別な力があることを指しているのかな。不思議ではあるけど、信じられなくもない。
「あがったな」
ついさっきまでは雫が垂れるほど濡れていたのに髪も服も乾いており、いつの間にか雨もあがっていた。
「芙海がもう1回、ハナさんに会えるように俺も手伝うわ」
「え? いいの?」
「とかいって、ほんまにただの迷信やったらごめんな」
「ううん、それでもいい。出来ることをやってみたい」
おばぁちゃんが亡くなってからずっと後悔ばっかりの毎日で、この島に来てからはそれがどんどん強くなるばかりで苦しかったけど。
それじゃだめだ、私も何か変わりたい。
晴登くんと話していると、不思議とそんな気持ちになれた。
「お、ちょうどいいところでバスも来たわ。あれに乗って行こ」
「うん」