僕等の青色リグレット
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突然、何も連絡もなく子猫を持って訪ねた私たちに、当然のことながら三笠のおばさんは困った表情を顔に浮かべた。私たちの顔と子猫を何度も交互に見ては、胸の前で組んだ腕を動かしている。
さっき晴登くんが言っていた通り、おばさんは猫が好きなんだろう。
飼ってあげたいけど、おじさんがどう言うだろうかと困惑しているのが見て取れた。
この様子なら、晴登くんのプラン、情に訴えかける方が上手くいくかも――と、
「お節介なのは承知してるけぇ、怒ってくれてもいいけど。俺らはおじさんとおばさんにもっと仲良くやって欲しくて、共通の会話ができるように猫を貰ってきた」
え、それ言っちゃうの!?
しかも思いっ切り正直に言っちゃったんだ。
晴登くんはチラッと私の方を見て軽く頷いた。
「おばさん、この子を飼ってやって」
「で、でも急にそんなことを言われてもねぇ、それにうちの人が何ていうか」
おばさんはますます困惑した顔をして、廊下の奥へと視線をやる。おばさんの言うことはもっともで、命ある生き物を「じゃぁ、貰うわね」なんて簡単に引き取れるものじゃない。
ここは一旦引き返して、また後日話し合った方がいい。
そう思い、晴登くんの服の裾を引っ張ったその時、
「いいじゃないか、うちで飼おう」
廊下の奥からおじさんが出てきた。
「話は途中から聞いてたよ。この子たちが気を利かせてくれてくれたみたいだな。こんなきっかけがなければ話せないなんて情けないが、恵理子、今まで悪かった」
「あなた……」
「可愛い子猫じゃないか、恵理子は昔から猫が好きだっただろう」
「ええ、あなたもね」