僕等の青色リグレット
おじさんが子猫を抱き上げると、子猫が力強く「ニャー」と鳴いた。
その姿を奥さんが涙目で見つめている。
私と晴登くんは目配せをして、三笠夫婦の家を後にした。
「良かったな、上手く行って」
「ホント! でも晴登くんが正直に言った時は、びっくりした」
「あぁ、あれな。俺も正直に言うつもりはなかったんやけど、何か芙海を見てると、そんな気になって」
「私?」
「嘘ついたらダメやって思ったんや。結局は芙海の言った通りにして正解やったし、芙海のお陰やな」
両手の平をこちらに向けた晴登くんが、ニコッと笑う。
私はそんな彼に向けてたくさんのありがとうと、感謝の気持ちを込めて、ハイタッチをした。
なぜか、胸がドキドキして眠れない。
布団の中で開いたおばぁちゃんの日記には、今日の日付もありこう書かれている。
【8月2日 彼と一緒に、雨宿りをした】
小さな子猫を胸に抱いている。
温かくて優しい気持ちに、何か新しい自分を見つける。
変わりたい、変われるはずだ。
そう思わせてくれたのが、彼だった。