僕等の青色リグレット
4、きっと、これは恋
「もう1回通しでやるか」
「そぉやな、暑いのはみんな一緒やで、集中すんぞ」
深緑に包まれた神社の境内に、そんな声が響き合う。いよいよ神起祭まであと2週間となり、神楽の練習にも熱が入っていた。
練習を仕切るのは主に晴登くんで、その補佐をするような形で優芽が他の幼い子たちを引っ張る。笛がちゃんと吹けているか、神器を間違えず扱えているか。細かいチェックにも余念がない。
真剣な表情で練習に励む子たちは、どの子も額に玉のような汗を浮かべており、そろそろだとなと判断した私は本殿の方へ向かった。
といっても本殿に入ることは許されていない。晴登くん曰く、子供の七五三や祈祷などを行う場合意外は神職の人しか入れないとか。
そんなわけで塀伝いに本殿の周りをぐるりと回り、裏口に当たるドアを2回ノックする。ここは晴登くんたちが居住しているところで、しばらく待っていると中から宮司さんが開けてくれた。
「もう終わりの時間かい?」
「いえ、今日はもう少し続けるそうで、お茶の用意をしてもいいですか?」
「もちろん、いいよ。悪いねぇ、いつも手伝って貰って」
「そんなことないです、お邪魔します」