僕等の青色リグレット
「はい」っと頷き、スマホを晴登くんに見せる。
ミケジャリは神起島にしか生息していない花で、ネットで調べてもヒットしなかった。そのためここに来る前に図書館に寄り、図鑑に載っていたものを写真を撮ってきたのだ。
青くて丸い花弁が重なり合うように開いているのが特徴的な可愛らしいお花だ。
司書さんに聞いたところ、ここ、ミナツの森でよく見られるという話しだけど、本当にあるのかなぁ。似たような花はあるけど、どれも微妙に違っている。
とにもかくにも青い色のお花に神経を集中させていると、
「あっ芙海、そこ気をつけぇ……って、あーあ」
蜘蛛の巣に引っかかってしまった。
頭から顔面に掛けてネバッと納豆の糸のようなものが絡みついている。しかも、この糸の先には巣を壊されて怒っている蜘蛛がいるわけで……。
ひいいいい、とプチパニックに陥っている私に手を伸ばし、晴登くんが蜘蛛の糸を取ってくれた。地上に落とされた蜘蛛はそそくさと逃げていく。
「だから言ったのに、足元ばっかりじゃのーて、上も見ないと危ねぇって」
「うん、ごめん」
「いや、謝ることねぇけどさ。芙海はひとつの事に集中すると周りが見えんくなるタイプやろ」
「そうかな? ううん、そうかも! すごいどうして分かるの? オーラ?」
「いや、オーラなんか見んでも、一緒にいれば分かるって」
ですよね、はい。