僕等の青色リグレット


急にそんなことを言われて、胸がドキッとする。

私たちのすぐ近くで小魚か何かが跳ねて小さな水しぶきがあがった。


「悪いんやろ、左の膝」

「どうしてそのこと……」

「悪いところも、どことなく見える」

「オーラ?」

「うん、まぁそんなもんかな。感情のオーラとはちょっと違うんやけど、その人の不調なところは淀んで見えるんや」

「ってことは、私の左膝は淀んでいるんだね」

「ほんのちょっとだけな。けど、その足もう治っとるやろ」


……驚いた。

本当に驚いた。

私の足は日常生活に支障はなく、走ることだってできるため、一見どこも悪くないようには見える。だけど、激しい運動を長時間したりジャンプを繰り返すと膝に痛みが出る。また寒い日なんかは疼くこともある。

ここまでなら、よくよく見ていれば分かることだけど、実は”もう治っている”ということは私と主治医しか知らないことだ。

お医者さん曰く、痛みの原因は精神的なものらしい。

晴登くんはそれら全てを言い当てることができるんだ。

「すごいね」って純粋に返すと、彼は何故か悲しそうな顔をしていて、ひときわ強く吹いた風が草木を大きく揺らした。


「そんな風に言ってくれたのは、身内以外で芙海が初めてや」

「……みんな何て言うの?」



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