僕等の青色リグレット


「びっくりしたぞ、カケル。お前一人で来たんか」 

「うわぁぁぁ、うう」

「泣いてたら分からん。もう大丈夫やけぇ泣き止め、男やろ」

「んぐ……ううっ」



どうやら2人は知り合いのようだ。

カケルくんに抱きつかれたまま彼の頭を撫ぜてあげている晴登くんは、私と目線を合わせて困ったように笑う。

一方で獣の類が飛び出してくると身構えていた私は安堵感から膝が笑ってしまい、近くの岩へとよろよろ近寄り腰を掛けた。なかなか情けない。


「落ち着いたか?」


少し経って、晴登くんが再び声を掛けると、カケルくんは溢れる涙を手の甲で拭き取りながら小さく頷いた。幼稚園児くらいだろうか、モミジみたいなぷくっとした手が可愛いらしい。

それにしても、こんなに小さな男の子がどうして1人でいたんだろう。


「芙海、お茶持ってたよな? カケルに飲ませてやってくれ」

「あ、うん!」

「カケル、この人は、”ふみねぇちゃん”っていうんだ、お前が急に出てくるもんだけぇ、びっくりしとったぞ」

「……ごめんなさい」

「いや、そんな謝ることないよ! はい、お茶どうぞ」

「ありがとう」


て、天使……!

すっかり泣き止んだカケルくんは、天使のような笑顔で私が渡した水筒のお茶を両手に持って飲む。その彼を真ん中に挟むような形で、私と晴登くんはさっきの岩に腰かけた。



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