僕等の青色リグレット
バシャン、と水しぶきがあがり、次に聞こえてきたのは自分の心臓の音だった。
しまった、這い上がらきゃ。
そう思う反面、何かもういいかなって考えてしまう自分がいる。
沈んでいくままに抵抗を止めて、ゴボゴボゴボと水面へと向かって上がっていく泡を見つめる。
綺麗な青、深い蒼、透き通る碧。
このまま意識を手放してしまえば、おばぁちゃんに会える――。
けれど、目を閉じたその瞬間、私は何か強い力に掴まれ、地上へと引き上げられた。
「大丈夫か!?」
「……げほ、げほ」
「水飲んだんか、しっかりしろ」
どうやら私は誰かに助けられたようで、平たい岩の上に座らされていた。
「大丈夫、です」
「ほんなら良かった、びっくりしたで」
「すみません、あの」
お礼を言おうと顔をあげると、眩しかった。
いや単に太陽の加減でそうなったのだけど、後光がさしてる感じの男の子がこちらを覗き込んでいる。歳は私と同じくらい。
綺麗な顔をしたその子は、頭の先から足の先までびしょ濡れだった。
「ご、ごめんなさい、私のせいで」
「え? あぁ別に全然いいで、こんくらい」
「でも風邪引いたら大変」
「それを言うならお互いさま。俺は慣れとるぶん平気やわ」
男の子はそう言って微笑むと、少し離れたところに落ちていたパーカーを拾い私の肩に掛けてくれた。