僕等の青色リグレット
結局、私は1番大好きだったものを投げ出して、その後、勝手にささくれたりもした。プレッシャーや不安から解放されたというのに、心に重みはいつまでも取れなかった。
むしろ苦しさだけが募っていった。こんなことなら辞めなきゃ良かった。目が覚めれば、怪我をする前日に戻ってないかな? と、何度も思った。
おばぁちゃんは、私のことをいつも応援してくれていた。いつか私がプリマになって舞台に立った時、1番前で見るのが夢だとよく言っていた。
だから、おばぁちゃんには言えなかった。
「嘘ついたの、バレエをずっと続けてるって。1つ嘘ついたらね、どんどん嘘を重ねなきゃいけなくて、私は段々おばぁちゃんに会うのが辛くなった」
「それで島に来なくなったんか?」
「うん」
「ハナさんよく言ってたで、孫娘は忙しいからあんまり来なくなったって。けど、向こうで頑張っているならそれでいいだって」
「そう……なんだ」
おばぁちゃんがそう話してくれていた頃、私は何にも頑張れなかった。
バレエだけじゃなく、おばぁちゃんからも逃げていたんだね。
思わず深いため息を吐いた私の背中に、晴登くんの手を当たった。
大きくて温かい手だ。