僕等の青色リグレット
「芙海の後悔は、それなんだな」
「うん、おばぁちゃんに会えたら嘘をついたことを謝りたい」
「そっか」
「あとね、もう1回、夢をみたい」
「夢?」
「バレエの夢は途絶えちゃったけど、夢を見ているときは頑張れたから。またあの時のように頑張れるものが欲しい……なんて」
この島に来たばかりの頃は、後悔ばっかりだったけど、晴登くんに出会い、彼を通じて色んな人と話したりしているうちに考えが変わってきた。
後ろめたい気持ちばかりに支配されるのは、もう嫌だ。
「夢に終わりはないんやで」
「え?」
「もう叶わないと思った夢でも必ず続きはあって、新しい夢に繋がっていくもんなんや。だから終わりはない」
「じゃぁ、プリマになる夢も終わってないってこと?」
「そうや、その夢は終わってない。そりゃ形は変わるかもしれんけど、諦めずにいたら必ずどこかで繋がるはずや」
どこかで、繋がる……。
晴登くんの言葉は私の心にスゥーと沁みて、幾分軽くしてくれた。
こんな重い話でも嫌な顔をひとつせずに聞いてくれて、励ますでもなく諭すでもなく、同じ目線で理解してくれる。
そんな彼だからこそ、話して良かったと思う。
「晴登くんの夢は、何?」
「うんー、そうやなぁ、一人前になった姿をある人に見てほしいってことかな」
「ある人?」
「そうや、ある人」
晴登くんが、ニコッと笑う。
「叶うといいね。話を聞いてくれてありがとう」
「なんや、改まって」
「ううん、晴登くんにはこっちに来てからずっとお世話になってるから、ちゃんとお礼を言っておきたくて」
「やめーや、照れるわ」