僕等の青色リグレット


和枝おばさんと一緒にいる奥様たちは、お母さんのこともよく知っているようだった。「私も小さい時にこき使われたわ~」と、小柄なおばさんが笑いながら言う。

井戸端会議の話題が別のところに移ったようなので、私は和枝おばさんに声を掛けて奥様たちの輪から離れた。


「いつもありがとう、280円のお返しね。お母さんによろしく」

「はい」


商店でお使いを済ませた私はおばぁちゃんの家に戻り、それから神楽の練習を見に行くために神社に向かうことにした。

その道中、和枝おばさんたちの話し声が、頭の中でぐるぐる回る。

”あんなこと”って何だろう。

風子ちゃんが入院していることに関係しているのかな。

晴登くんが神起祭で鳳を舞うのは、風子ちゃんのためっていうのは? 

そういや前に、晴登くんに風子ちゃんの話をした時、彼はどことなく悲しそうな顔をしていたっけ。あの時は、単に神起祭で大役を務めることにプレッシャーを感じているんだと思っていたけど……。

もしかしたら、私が風子ちゃんの名前を出したからだったのかな。

そんなことを考えながら神社の境内に足を踏み入れたまさにその時、大きな怒鳴り声が聞こえた。



「馬鹿もんが! お前はもう2年前のことを忘れたんか、そげな考えしかできんのなら辞めてしまえ!」


宮司さんの声……?


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