僕等の青色リグレット
「海だ……」
輝くんに手を引かれるままに、おばぁちゃんの家とは逆方向に竹林を進むと開けた先に海が見えた。神社には何度も通っているのに海が近くにあるとは知らず。
というか、未だこの島の地理がよく分かっていない私は魔法の道を通った気分で海を見つめた。
誰もいないビーチは決して広くはないけど静かで、波の音が心地よく耳に届く。
靴を脱いで歩きだした輝くんにならい私もサンダルを脱ぐと、サラサラの砂が指の間をすり抜けていった。
「晴登と喧嘩でもしたか」
大きな岩に腰を掛け、海水に足を浸した輝くんがこちらを向いた。
取っつきにくい印象のある彼でも、困ってる女の子を放っておけないのか、さりげない優しさにまた胸が痛くなる。
「私が余計なことを言ったせいで、怒らせてしまったの」
「何を言った?」
「悩んでる気持ちを逆撫でするようなことを……、どうしよう、嫌われちゃったかも」
怒りに任せて我を忘れるとは、まさにこのこと。
冷静になっていくほど、さっきの私は自分勝手だった自責の念が積もる。苦しそうに吐いた晴登くんの言葉の数々が頭の中でぐるぐる回っている。