僕等の青色リグレット
輝くんはしばらく私の顔を見つめていたけど、やがてふっと海の方を向いた。つられて私も見る。水平線の向こう側には大きな太陽が沈みかけており、幻想的な世界が広がっていた。
この島に来てから何度も見たサンセット、今日も変わらず綺麗だけど感動する心の余裕は少しもない。
「晴登は簡単に人を嫌うような奴じゃねぇーで、こんな俺のことでも友達やと言ってくれるくらいにな」
ポツリ、輝くんが言う。
「それは、どういう……?」
「俺は晴登を2回裏切った」
「えっ」
「それだけやない、嘘で罪を擦り付けた」
「……」
「2年前の話や」
また、”2年前”。
宮司さんと晴登くんが言い合いしていた時もその言葉が出ていたし、和枝おばさんたちの噂話でも”2年も経つ”と誰か言っていた気がする。
2年前に何があったのだろう。
風子ちゃんの身に起こった、”あんなこと”に、晴登くんたちも関わっているのだろうか。晴登くんは自分のことを「中途半端で逃げている」と言っていた。あれは進路のことだと思ったけど、違うの?
「……ねぇ2年前に何があったか、聞いてもいい?」
問いかけた私に輝くんは薄く笑って、「べつに隠すことじゃねぇし」と頷いた。