僕等の青色リグレット


ザバ――ンと、波が岩に当たる音がする。

輝くんが座っている隣に腰掛けた私は、海にその身を完全に飲み込まれつつある太陽を見つめた。海面は赤や黄色や青といった色んな色をその場の気分で変えていく。

それはまるで私たちの感情のようだと、ぼんやり思った。


「優芽のねぇちゃん、風子って知ってるよな?」

「うん」

「2年前の神起祭の夜のことや。俺と晴登と風子の3人は港街の方に遊びに行っていたんや。港街っていっても何にもない、昼は商店がいくつか開いてるけど、夜は自動販売機があるだけのところや。けど、ウミホタルが見える絶好のスポットなんや」

「ウミホタルって貝だっけ?」

「そうや、同じ光るもんでも夜光虫とは違って海底の掃除をしてくれる生物や」

「そのウミホタルを3人で見に行ったんだね」


2年前と言えば晴登くんたちは、15歳。

風子ちゃんは私たちより4つ上だから19歳、ちょうど大学の夏休みだったんじゃないかな。私は高校受験へ向けての夏期講習を理由に島へ帰らなかった年だ。


「風子がウミホタルを見たいと言い出して、晴登もいるし平気やろってなった。けど、ちょうどその時、神起島がテレビで紹介されたこともあって観光客が来るようになってたんや」

「それで?」

「港にも観光客がおった。そいつらは酒に酔ってて俺らに絡んできたんや」
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