僕等の青色リグレット
それは、どういうこと……?
輝くんはさらに顔を歪ませて、抱えていた自分の膝を手で叩いた。ぺチン、ぺチン、と波の音に混ざり鋭さがどんどん増していく。
見ていられなくてその手を掴むと、水膜の張った瞳がこちらを向いた。
「俺は風子が黙っているのを良いことに責任逃れをした。それだけやない、男たちに絡まれたのは晴登が因縁を付けたからやと嘘まで吐いた」
「……それが、”2度も裏切った”ってこと?」
「最低やろ、あの時、俺が港町に行こうって言わんかったらこんなことにはならんかった。風子に良いところを見せようなんて思わんかったら――!」
「それは違うよ、輝くん」
確かに嘘を付いたのは良くない、狡いと思う。
でも、そのことと風子ちゃんが入院したのは別の問題。悪いのはあくまでお酒を飲んで彼らに絡んできた男たちなんだから。
「晴登は俺のことを責めるどころか、”お前は悪くない”といって俺の嘘に合わせてくれてる。そうした方が風子を傷つけなくて済むとか……」
「晴登くんらしいね」
「あいつは馬鹿だ、全部一人で背負い込みやがって風子を助けられなかったのは、自分のせいだと思ってやがる」
悲しいね、すごく悲しいね。
晴登くんが言っていた「中途半端」というのは、風子ちゃんを完全に守れなかったことなんだろう。自分がもっと強ければと思っているのかもしれない。