寵愛婚―華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない
「ごめんなさい……」
戸惑うテオに、か細い声で告げた。
テオを困らせたと誤解したのだ。
「セレナ? 何を言って……」
セレナは困っているテオを見つめた。
テオの瞳には泣き出しそうな自分の顔が映っている。
姉妹だというのに、クラリーチェのような美しさや気高さは微塵も見えない。
改めてそれを思い知らされ、一瞬、呼吸が止まった。
テオに愛されるどころか、クラリーチェの代わりにもなれないと、セレナはさらに落ち込んだ。
表情を曇らせたセレナに、テオはドキリとした。
物憂げな表情で視線を逸らせたセレナが大人びて見え、ただでさえ興奮している体が一層熱くなる。
「セレナ? いろいろ悩んでるかもしれないが、俺はもう、限界なんだ」
テオはそう言うと、首に回されたセレナの手はそのままに、さっとソファから降りると同時にセレナを抱き上げ歩き出す。
「せっかく、ベッドがあるんだ。そっちでゆっくりと抱くから」
テオはベッドにセレナを降ろし、そしてすぐに覆いかぶさった。
「セレナ、心配する事は何もない。俺は、セレナを幸せにするから」
「……はい」