寵愛婚―華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない


 今更ランナケルドの事で感情を揺らさないで欲しい。
 大切なアメリアをクラリーチェに取られるようで寂しいだろうが、その寂しさを押しやるくらいの愛情を注ぎ、ミノワスターでの生活に幸せを感じられるよう大切にすると、テオは改めて誓った。

「俺の方が、セレナの気持ちはわかるかもしれないな……」

 手元の書類を片づけながら、カルロがふと口を開いた。

「俺は前王妃の息子だから、陛下や王妃、それにお前と一緒にいても、やはり居心地がいい時ばかりじゃなかった。陛下はいつもお前に手をやいて文句ばかり口にしていたが、それは俺に気を遣ってる部分が大きかったんだろう。王太子にふさわしいのは俺だから、遠慮せずにここにいろと遠回しに言っていたんだと思う」
 
 淡々と話すカルロに、テオは苦笑した。

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