寵愛婚―華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない
「『慣例に従って王太子妃にサファイアを譲るけれど、他の誰でもなくセレナに譲る事ができて嬉しいわ。たとえ好きになれそうもない女性が王太子妃になったとしても拒む事はできないけど、こうしてあなたに譲れて本当に嬉しいのよ。王太子妃ではなく、私の娘になってくれたセレナにこれを贈るわね』って、おっしゃって下さったの」
「私の娘?」
「そう、自分がどう答えたのか忘れちゃうくらいびっくりしちゃった」
照れたのか、セレナは両手を頬に当てて俯いた。
体を左右に揺らし、耳を赤くする様子はとてもかわいい。
王妃がその言葉を伝えた時、テオはその場にいなかったが、今のセレナを見れば、よっぽど嬉しかったのだとわかる。
実の両親からの愛情に恵まれなかったセレナを想い、王妃があえてそう言ってくれたのかもしれない。
ありがたい。
アメリアがクラリーチェにかかりきりで寂しさを感じた時に涙をぐっと堪える事ができたのも、その言葉のおかげだったのだろうと、テオは察した。
テオがホッとしたようにセレナを優しく見つめていると、部屋の奥に控えているラーラの視線に気づいた。
目が合えば、ラーラは目頭を拭いながら笑顔を浮かべた。
何度も頷く様子を見れば、セレナが王妃からサファイアを贈られた時側にいたようだ。
テオはセレナの腰に手を回し抱き寄せた。
「セレナは俺の妻であり、陛下と王妃にとってはかわいい娘だ。息子ふたりに恵まれて王妃としての役目は無事に果たせたが、本当はかわいい娘が欲しかったと聞いたことがある」
セレナは両手を頬に当てたまま、おずおずと視線を上げる。
不安と期待が交じる瞳が揺れている。
「俺はこれまで王子としては落第点しか取れなかったが、こんなに美しくて聡明な娘を国王と王妃にプレゼントできたんだ。それって最高の親孝行だろ?」
「私は美しくもないし、聡明でもありませんけど……」
落ち込んだ声でセレナは答えた。
どこまで自分に自信がないんだ、鏡を見た事がないのかと、テオはがっくりと肩を落とすが、ラーラは大きな声で笑った。
「私の娘?」
「そう、自分がどう答えたのか忘れちゃうくらいびっくりしちゃった」
照れたのか、セレナは両手を頬に当てて俯いた。
体を左右に揺らし、耳を赤くする様子はとてもかわいい。
王妃がその言葉を伝えた時、テオはその場にいなかったが、今のセレナを見れば、よっぽど嬉しかったのだとわかる。
実の両親からの愛情に恵まれなかったセレナを想い、王妃があえてそう言ってくれたのかもしれない。
ありがたい。
アメリアがクラリーチェにかかりきりで寂しさを感じた時に涙をぐっと堪える事ができたのも、その言葉のおかげだったのだろうと、テオは察した。
テオがホッとしたようにセレナを優しく見つめていると、部屋の奥に控えているラーラの視線に気づいた。
目が合えば、ラーラは目頭を拭いながら笑顔を浮かべた。
何度も頷く様子を見れば、セレナが王妃からサファイアを贈られた時側にいたようだ。
テオはセレナの腰に手を回し抱き寄せた。
「セレナは俺の妻であり、陛下と王妃にとってはかわいい娘だ。息子ふたりに恵まれて王妃としての役目は無事に果たせたが、本当はかわいい娘が欲しかったと聞いたことがある」
セレナは両手を頬に当てたまま、おずおずと視線を上げる。
不安と期待が交じる瞳が揺れている。
「俺はこれまで王子としては落第点しか取れなかったが、こんなに美しくて聡明な娘を国王と王妃にプレゼントできたんだ。それって最高の親孝行だろ?」
「私は美しくもないし、聡明でもありませんけど……」
落ち込んだ声でセレナは答えた。
どこまで自分に自信がないんだ、鏡を見た事がないのかと、テオはがっくりと肩を落とすが、ラーラは大きな声で笑った。