寵愛婚―華麗なる王太子殿下は今日も新妻への独占欲が隠せない
 

 夢か現実か曖昧に感じるが、腕の中の温かさがこれは現実だと教えてくれる。
 今日までの苦しみや切なさが、洗い流されるようで、目の奥が熱くなる。
 諦めなくてよかった。
 この宝物を手に入れる事ができて、良かった……。
 テオは顔を真っ赤にして答えを待つセレナを見つめ、口を開いた。

「俺も、ただひたすらセレナと愛し合いたい。面倒な事はもう、いらないな」

 悩みのない未来があるわけがない。
 それはわかっているが、ふたりが望む事はただひとつ。


「そろそろ素直に、ただ愛し合いましょう」

                                     完
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