愛も罪も
第8章 開かれた扉
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午前8時。理奈の部屋にアラームが鳴り響く。目覚ましを止めようと何時もの様に頭の上に手を伸ばすが、そこに時計は置かれていない。
?。 ……あ、そっか。
直ぐに止めてまた眠ってしまわないように、昨夜、ベッドよりも離れた机の上に時計を置いた事を、朦朧とした頭で思い出した。そうしておけば時計を止める為には態々歩かなければならないので、さすがに二度寝をする事は無いだろうと考えての事だった。だが、実際に机まで歩いて時計を止めるのは面倒で、中々布団から出る気にはなれなかった。枕に顔を俯せて眠気と戦っていると、そのうち時計の方が根負けをしてアラームが止まってしまった。
「………」
数分して渋々顔を上げ、一時停止している。
あ、そっか…映画。
両手を挙げて大きく伸びをするとやっと起き上がった。
アラームが鳴り止んでから既に12分が経過していた。
カーテンを開けると、今にも雨が降り出しそうな、重々しい曇り空だ。
「えーーーーーっ!」
天候に影響され、理奈の気分も一気に曇ってしまった。
布団から出ると寒くて、猫背になりながらも、とろとろと支度にかかる。
なんでこうなっちゃうの? 久々にハルと遊ぶのを楽しみにしてたのに、なんでこんな天気なわけ? …日頃の行いのせい? だとしたら責任はハルにあるな。まさか雨が降ったりなんてしないでしょうね? そうなったら最悪! せっかく可愛くキメて行こうと思ってるのに、服が汚れちゃうじゃん。
眉間に皺を寄せて、そんな事を考えながら階段を下りて行った。