両想い切符〜ふた駅先の片想い〜



それまでは、よく分からない気持ちが続いてた。



てんぼちゃんには好きな人がいるって言うのに、


大会前日には思わず彼女を電車から引き下ろして、最後には抱きしめた。



俺は梨捺が好きなはずなのに…。


なんで?


そう思いながら大会を迎えた。


大会に持って行った、名前も知らない誰かからもらったお守り。



だけど俺はなんとなく、そのお守りを見て、てんぼちゃんを思い出した。



惜しくも負けてしまったけど、そのお守りを作ってくれた子に恥じない試合はできたと思う




てんぼちゃんじゃないかもしれないけれど、俺は無性にてんぼちゃんに会いたくなった。


声が聞きたくなった。


梨捺じゃなくて。てんぼちゃんに。



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