両想い切符〜ふた駅先の片想い〜
大会の次の日。
俺はもう1度てんぼちゃんに会いたくて、終電一本前のいつもの電車に乗るつもりだった。
でも、梨捺から泣きながら電話がかかってきたから急いでいつもの一つ前の電車に乗った
おととい、てんぼちゃんを抱きしめた公園で梨捺と話した
「私、本気で好きだったのに。
浮気相手だったみたい…」
そう言いながら俺に泣きついた梨捺。
誰よりもわかってた。梨捺が今回だけは本気だったこと。
一緒に泣きたいぐらい俺も傷ついた。
「どうすんの…梨捺…。」
「でもね、私。本気で好きだから言っちゃった。
それでもいいよって。
それでも一緒にいたいって言っちゃった…
人のものは絶対にとらないって思ってたのに、本気になった人がこんな結果なんて…」
そう言って俺の胸に頭を預ける梨捺。
ほんと数週間前までは、こうしたくてたまらなかった。
俺の腕の中に閉じ込めて出したくないとまで思ったのに。
俺の頭はおとといのてんぼちゃんのことが先に勝って、梨捺と重ねていた。
てんぼちゃんを抱きしめたときは、もっとあたたかい気持ちだったな。
そう思って、俺はやっと、自分の気持ちに気がついた。