両想い切符〜ふた駅先の片想い〜
すると先輩はびっくりしたように私の方を向いた
「なんか、不思議だな
人に話そうとか、1回も思ったことなかったのに。
なんか、てんぼちゃんには簡単に言えそう
なんなんだろ。これ。」
「…………
私、なんでも聞きます」
ウソだけど…。本当は何でも聞く覚悟なんてまだない。
先輩の口から梨捺先輩が好きだなんて言われたらきっと泣いちゃう。
でも……
なんでかな。
今はどうしても、この目の前の消えちゃいそうな先輩を……救いたい。
先輩はまた少し困ったように笑った
「その素直さがそうさせんのかな。
はぁあ、てんぼちゃん、俺に催眠術でも使った??俺、こんなの初めて。」
『こんなの初めて。』
もっと違う場面で聞けたらどんなに幸せだったろう……
先輩、それ以上言わないで…
心はそう叫ぶのに
「先輩…なんでも言ってください
私でいいなら、なんでも。」
口ではそう言っちゃうんだ。