両想い切符〜ふた駅先の片想い〜



「あ〜。東条駅まであとひと駅だわ。


てんぼちゃん、今日でこの電車乗んの終わり?」




「………へ??」



「だって、もう明日でテスト終わるじゃん」




あ、そうだった。


先輩があんな話するからすっかり忘れてた。



私が「そうですね。最後です。」



そう答えようとすると…



「やだなー」




なんて、先輩がこっちを向いて言った




「ぇ??」



「せっかく、こんな仲良くなれたのに、もうゆっくり話せなくなんじゃん。

俺、てんぼちゃんと話す時間、好きだったのに」




あぁ、どうして先輩はそんなにも意地悪なの…



やっぱり届かない存在だって思ってたのに、また私の心をそうやって離さない。



無意識でやってるんだろうから憎めないし。



「……最後じゃないです。」



「え??」


「私、まだ勉強します。」



「え、まじで?!」



「はい。補習期間にもうすぐ入るし、

な、なんか、今回のテストで勉強にハマったかもしれないです!!!」




なんて、すぐ嘘だってバレちゃいそうな、いい加減な理由をつけた




そんな嘘にも先輩は大きく笑って



「勉強にハマったって!!なんだそれ!!


はぁぁ、腹いてーー


でも、よかった」



なんて、爽やかな顔で私に笑顔を向ける




はぁ~。この人、なんにも分かってない!!!



そんなこんなしてると、東条駅に着いた



「じゃ、また“明日”な??」



そう言いながら笑う先輩を初めて悪魔だと思った



もー。先輩のバカ。



でも大好き。




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