両想い切符〜ふた駅先の片想い〜
「なんで吉岡先輩……。」
少し考えてから舞衣ははっとした表情になって
「ひょっとして…先輩、未緒のこと…」
私はその言葉を打ち切るように首を振った
「絶対ない。先輩は梨捺先輩だもん。」
私だってそう考えなかったわけじゃない。
でも、好きならきっと昨日の終電一本前の電車に乗ってくれたはず。
それに…。
梨捺先輩は絶対的だし。
期待して傷つくなんてごめんだし…。
「そっかぁ。吉岡先輩も色々と難しいね…。
でも私にはそんな軽く抱きしめるようなこと、しない人にしか見えないんだけどな。」
「うん。私もそう思ってたからわかんない。
だけどもういいかな…
悩めば悩むほど疲れちゃうし。
もう、先輩との接点の電車がなくなっちゃったから、いい機会だよね?」
「うーん…。
せっかく仲良くなれたけどなぁ。
でも、変に期待したくない気持ちもすっごく分かるしね…」